今月の6日、ロシアのコメルサント紙が、金正恩氏が2ヵ月間ミサイルの発射実験をしなければ、アメリアは北朝鮮との直接対話を始めるという提案をティラーソン国務長官がしたという報道を流しました。
今年、最後のミサイル発射は9月15日ですから、それから2ヵ月と言えば11月15日であり、丁度トランプ大統領のアジア歴訪が終わる14日ごろまでということになる。
ここまで大人しくしていれば、アメリカは北との直接対話に応じる、と。
事実、9月15日を最後に北朝鮮はミサイルを発射していません。
この提案を北朝鮮が飲んだのかどうかは分かりません。
トランプ大統領のアジア歴訪中にミサイル発射をする可能性も論じられています。
11月5日の日本をかわぎりに韓国や中国、ベトナムやフィリピンを歴訪します。
特に韓国への訪韓は、北朝鮮からすればお隣の国に自国を壊滅させると主張した敵の大将が訪問しているわけですから、これ以上の挑発はありません。
日本のように2日もいるわけにはいかない。
この時にICBMの実験かグアムへの包囲射撃、あるいは太平洋上での水爆実験をするかもしれない。
ティラーソン国務長官の提案を飲めば、北朝鮮は怖気づいていると捉えられかねないからです。
あるいは9月15日以降、ミサイル実験を実施していない言い訳のような報道もあります。
「労働新聞」は28日、論評で
「我々の国家核戦力の建設は既に、最終完成のための目標が全て達成された段階にある」
と主張した。
「目標が達成された段階」と報じるのは初めてとみられる。
挑発行為を続けてきた北朝鮮だが、今後の対応の変化を示唆している可能性がある。
国家核戦力が完成したために、これ以上実験をする必要はない、と言う言い訳です。
ティラーソン国務長官の提案を飲んだ可能性もあります。
トランプ大統領のアジア歴訪中に何もしなければ、明らかに北朝鮮はアメリカに怖気づいていることになる。
公然とかばってくれるのはロシアかフィリピンのドゥテルテ大統領ぐらいですからね。
ドゥテルテ大統領、米国は北朝鮮を脅すのをやめるべきだ ブルームバーグ
トランプ米大統領に対し、北朝鮮を脅すのはやめて金正恩朝鮮労働党委員長を追放する計画はないと同委員長に保証するべきだと呼び掛けた。
ドゥテルテ大統領は、トランプ大統領には「最も正しい方法」で向き合うと述べるとともに、自分とトランプ氏は「同じリズムで口を動かす」と発言。
暴言大統領が暴言大統領に忠告です。
北朝鮮は力関係を理解し始めたのかもしれない。
というのもここにきて欧州やNATO(北大西洋条約機構)まで口を挟む事態になっているからです。
NATO加盟国は北朝鮮のミサイルの射程内にある NATO事務総長 スプートニク
「欧州も(北朝鮮の)ミサイルの射程内に入ったと認識している。NATO加盟国も既に危機にさらされている」
「対話のテーブルに着かせるためにも北朝鮮への圧力強化は必要だ。経済制裁も強く支持する」
NATOまで敵に回したら勝てるわけありません。
政治力学が、北朝鮮への圧力となっています。
それでもミサイル実験を繰り返す挑発行為をやめないならば、全面戦争の覚悟をしていることになる。
核保有を放棄することは、墓場への片道切符と捉えておりますので、核を放棄しても墓場、放棄しなくても墓場であり、どちらも同じ結論ですから全面戦争覚悟で開発を続けるかもしれない。
ただし人の噂も75日と言い、3ヵ月大人しくしていれば、今の緊張状態も緩和していると考えている可能性もある。
だからミサイル実験をせず、大人しくしているのかもしれない。
非常に高度な心理戦が展開していると思いますが、マーケットは米朝戦争を織り込んでいない。
市場が開戦と見ているならば、株価が上がるわけない。
市場は所詮、トランプ大統領は、同盟国のあまりに甚大な犠牲ゆえに米朝開戦はできないと見ている。
ところがメディアでは、最近やたらと開戦による犠牲者数の報道が出ています。
米政府「北の長射程砲攻撃で韓国は1日6万人の人命被害」 朝鮮日報
「(米国の)先制攻撃に北朝鮮が長射程砲で反撃したら、開戦後の1週間は1日当たり6万人程度の人命被害(casualty)が出ると(米国政府は)予想している」
「韓米が(北朝鮮の)長射程砲を壊滅させるのに1週間ほどかかると推定している」
「これは米国政府側の推算」
米国政府は、韓半島(朝鮮半島)で開戦した場合、長射程砲を無力化するまでの間に韓国の首都圏でおよそ40万人の人命被害が発生すると予想しているわけだ。
「(米国側の関係者と会ってみて)これまで米国の措置は言葉だけだったが、今や実質的に行動するまで猶予はあまりないという印象を受けた。
それ(北朝鮮の核問題解決)についての米国の対策も、さほど先のことではない」
38度線の国境沿いに展開している膨大な長射程砲をすべて壊滅するのに「1週間」かかり、1日辺り「6万人」の犠牲が出る。
6万人×7日=42万人の犠牲
世界最強のアメリカ軍でも長射程砲をすべて破壊するのに1週間かかると言っています。
あるいは核兵器を使用しない通常兵器での戦争になっても数日で30万人の犠牲が出ると報道されています。
朝鮮半島有事、数日で最大30万人犠牲と米報告書-核兵器使用なくても ブルームバーグ
アメリカ政府の議会調査局が27日に議会に送った報告書です。
軍事境界線を挟んで北朝鮮と韓国で「2500万人」に影響が及び、最大「30万人」が数日で死亡する。
どの試算をとっても甚大な数字が出てきます。
報告書は1分間の発射弾数1万発という北朝鮮の能力に言及し、同国が「通常兵器だけを使用する」場合でも、「最初の数日の戦闘で3万-30万人の犠牲者が想定される」との見解を示した。
また中国とロシア、日本の実力部隊を巻き込む事態にすぐに発展する可能性があると予測した。
中国とロシアもすぐに巻き込まれると議会に報告しています。
どう見ても第三次世界大戦です。
メディアと市場の反応は逆です。
こんなに煽っています。
韓国から日本へ「非戦闘員退避」 真っ先に備えよ 榊原智 産経
もう戦争の気分らしい。
国難と言っています。
一度も他国を侵略したことがなく、「二毛作で豊作を」を標語に、電力不足でレーダーすら満足に動かせない北朝鮮の何が脅威で、何が国難なのか理解に苦しみますが、独裁者が核をもっていること自体が、何をするか分からないために脅威なのでしょう。
北朝鮮が、アメリカや他国を巻き込む形で勝利するには、やはりEMP攻撃(電磁パルス攻撃)しかないでしょうね。
北朝鮮は、元々電子機器が少ない国ですのでEMP攻撃は、あまり効かないでしょう。
北朝鮮、現在所有するミサイルで米本土を壊滅的打撃 EMP攻撃を検討 NEWSWEEK
軍関係者は
「北朝鮮の機関紙で2日連続でEMPについて報道したのはただ事ではない」
「北朝鮮がEMP攻撃に関心を持っているようだ」
と話している。
グォン・ヨンス元国防大学教授は「高度を60〜70キロに下げれば、朝鮮半島の南側、つまり韓国のどこでもEMP効果を作ることができる」と話している。
グォン元教授によれば、北朝鮮がアメリカを攻撃する場合、高度400キロ上空で核爆弾を爆発させると全米にEMPの効果を与えることが可能だという。
韓国には「高度60㎞~70㎞」、アメリカには「高度400㎞」上空で核爆発を起こせば、コンプトン効果による電磁パルスを広範囲に発生させることができる。
これができれば北朝鮮が滅んでもアメリカと韓国を同時に滅ぼすことができる。
その時には世界経済も滅びるでしょうから、まさにハルマゲドンとなる。
北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告 NEWSWEEK
北朝鮮の電磁パルス(EMP)攻撃を受けた場合のアメリカの被害予想は甚大だ。
CIAの核専門家だったピーター・プライらがまとめた報告書で、都市機能や通信網を破壊する電磁パルス(EMP)攻撃によって、アメリカ国内の電力などインフラが破壊され、食糧供給も壊滅することで、人口の9割が死亡する可能性があると試算された。
しかもこの電磁パルス攻撃は、高い精度も要求されず、攻撃の難易度も低いために容易に攻撃できる。
しかも敵国に壊滅的な被害を与えることができる。
「(EMP攻撃を受けた場合)北米上空を飛行する旅客機が墜落して最大で50万人の乗客が死亡する」
国民の9割が1年以内に死亡する
1年で復旧など不可能ですから、撃たれたらおしまいです。
1800年代の生活に戻されます。
北朝鮮は9月、ついにICBMに搭載可能な水素爆弾の開発に成功し、EMP攻撃を始めると宣言した。
このミサイルの射程は6200マイル(約1万㎞)で、シアトル~サンフランシスコ~ロサンゼルスなどアメリカの大部分に着弾できるものだとしている。
ちなみに日本ですが、「高度100㎞」上空で核を撃たれたら、日本全土は壊滅します。
電気のない江戸時代に逆戻りです。
攻撃はアメリカに追随している勢力に対してしかしないと言っておりますので、日本は当然「標的」です。
対米従属が国家滅亡の引き金を引くことになる。
特に最近の北朝鮮は、在日米軍のみならず、日本の本土を攻撃対象とすると宣言しています。
アメリカ・ファーストの大統領ですから、韓国や日本を犠牲にしてでもアメリカを守るはずであり、北の核保有を認めることはないでしょうから、どう見ても開戦しかない。
まるで韓国と日本は、アメリカを守る「剣」と「盾」みたいです。
日本と韓国、どちらが「剣」で、どちらが「盾」かは知りませんが・・。
アジアを歴訪中に北朝鮮が挑発行動にでるかどうかが、今後を占う上での分水嶺になると思っています。
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