昨日、12月8日に原油価格が年初来安値を更新しました。
WTI原油は8日、終値は「38.01ドル」でしたが、「36.64ドル」の最安値を更新しました。
ブレント原油も同日8日「39.82ドル」の年初来安値を更新しています。
ブレント原油は「40ドル」割れです。
この安値で底を打ったとは思いませんが、ここから更に下落するとなれば色々とジャンク債市場はうるさくなってくると思われます。
以前の記事「世界の債務危機 1」でアメリカ国外のドル建て債務は「9兆ドル(1100兆円)」と記載しましたが、今年の9月14日の「テレグラフ」の記事では「9.6兆ドル(1171兆円)」となっています。
世界最高の金融システム監視機関「ウォッチドッグ」、BIS(国際決済銀行)が、アメリカの「利上げ」に警告です。
US interest rate rise could trigger global debt crisis テレグラフ
「アメリカの利上げは、世界的規模の債務危機を引き起こす」という題です。
世界的な債務水準は、危険と言えるほどの高い水準にあり、中央銀行はいつまでもゲームを続けることはできないと警告した。
債務比率は世界経済のすべての主要地域で極端な水準に達し、FRBの金融の引き締めによって脆弱な金融システムを残すことになる。
スイスに拠点を置くBISは、トータルな総債務比率は、丁度世界的な金融危機が発生する前、2007年の信用サイクルのピークにあった時よりも著しく高いと述べた。
公共部門、および民間を合わせた債務は先進国経済GDPの265%に達し、36%跳ね上がりました。
今回は新興国も信用バブルに引きずり込まれ、トータルの債務は167%に達し、50%もスパイクしました。
中国は、過去の主要な金融危機前の信用の伸びのペースよりも高く235%。
加えて、アメリカ国外のドル建て債務は、9.6兆ドルに達しました。
アメリカのゼロ金利政策と金融緩和(QE)によるドルのリークに起因している。
FEDが世界中からドルを吸収し始めると、世界の市場からドルの流動性が減少し、ドル不足となる始まりと方向を決定づける。
9月14日時点でエマージング諸国(新興国)のドル建て債務は「9.6兆ドル(1171兆円)」に達したとあります。
新興国通貨も売られています。
通貨安はドル建て債務への負担を増加し、アメリカが「利上げ」をすれば、更に「9.6兆ドル(1171兆円)」の債務に対して金利負担が加わります。
新興国へのドル建て融資は、リーマン危機以来「3兆ドル」に達し、倍増しました。
これらの国々は借金返済を強いられます。
中国と諸々の新興国はリーマン危機後、信用の増加に成功し、リーマン危機に対する衝撃吸収材の役割を演じました。
しかし今は、何かまずいことが起これば、景気刺激策を打てる余裕のある地域は世界に残されていません。
由緒あるBISは、リーマン危機前に金融システムが危険で不安定になっていると、しきりに大声で警告していた唯一の機関でした。
投資家は、ゲームを続けるために中央銀行に頼るが、それはモラルハザードを来たす、希望的観測に過ぎない。
金融市場は、困ったことに中央銀行のすべての言葉と行動に依存するようになってきた。
まるでバール信仰ですね。
市中に流れている富のすべてを大元でコントロールしている神のごときセントラルバンクに人類は依存し、頼るようになっている。
神の心を頼らないで、富をコントロールしているバール神に頼っている。
偶像崇拝の極致ではないか。
「姦淫のぶどう酒」を飲んだ「バビロンの大淫婦」とは、よく言ったものです。
では実際、FEDが「利上げ」をすればどうなるのか?
BISリポートにある金融波及効果に関する論文では、国が変動為替制であろうが固定相場制であろうが関係なく、また貿易リンクやビジネスサイクルに関する通常の理論とも関係なく、世界的金融システムの多くは、アメリカの借り入れ金利に固定されていることが分かる。
平均するとアメリカの金利が100ポイント動けば、新興国と先進国の金利は43ポイント導かれる。
長期金利にも強力な効果がある。
自国通貨建て債務だとしても、金利が上昇すれば、新興国は金融ショックに直面するかもしれない。
「利上げ」は長期金利にも強烈な影響を与え、世界各国の金利の上昇にも拍車をかける。
金利が上昇すれば、たとえ自国通貨建て債務であろうとも金融ショックに直面するかもしれないリスクがある。
世界的に不況となりますと、需要の減退から供給過剰のデフレが促進されます。
原油需要も後退し、価格は下落を続けるでしょう。
当然、ハイイールド債、いわゆる1.3兆ドルのジャンク債市場を直撃します。
何も原油だけではなく、あらゆる商品が下がっているのですね。
バルチック海運指数を見ても、世界の貿易量は減少しています。
リーマン・ショックで世界的規模の不況となり、先進国は金融緩和とゼロ金利でしのいできたのですが、その量的緩和によって刷ったドルが、新興国に流れ、成長し、それが世界の景気を支えてきました。
中国を中心としたエマージング諸国の成長が、リーマン・ショックに対するバンパーの役割を演じてきたわけです。
欧米日の金融緩和により流された膨大なマネーが、リーマン・ショックの衝撃吸収材となり、今まで世界経済は持ちこたえてきました。
ところがアメリカが「利上げ」をしますと、新興国に流れていた、その「9.6兆ドル」とも言われる膨大なマネーがアメリカにレパトリされ、戻って行きます。
新興国からすれば、資金が流出していくわけであり、資金調達が困難な事態となります。
前回のリーマン・ショックの時は新興諸国が、緩衝材となったわけですが、今度同じ事態に直面しますと全く緩衝材の役割を果たす国がどこにもないわけです。
先進国は利下げができず、債務はどこも膨大であり、緩和にも限界があり、どこも余裕がない。
ゴールドマンサックは「世界は借金に溺れている」と警告しています。
日本だけではないということですね。
生命の借金が、物質的に表現されているのだろうと思いますが、その次のリーマン・ショックのきっかけとなりそうなのが原油価格の下落であり、そう予想しているのがゼロヘッジです。
その原油価格の下落が、あらゆる領域に伝播していき、すべてのバブルの崩壊となる、と言っていました。
「世界は借金に溺れている」のではなく「世界は借金で沈んでいく」
日本もそうですね。
借金で沈んでいくのでしょう。
世界の債務危機と言いますが、恐らくその債務は返済できないのでしょう。
欧米日、それほどの膨大な金融緩和をし、生き残りのために紙幣を刷り、それを全世界にばら撒いたのです。
そしてその刷った膨大な紙幣がすべて債務となって世界に襲い掛かってくる。
支払いを強いられる。
資産と負債はバランスが取れているから「バランスシート」と言うわけです。
生き残ろうとして資産を増加させれば、同時に負債を増加させることになる。
その負債が世界経済を崩壊させる可能性が高い。
支払えないからです。
「地球デフォルト」です。
これを世界経済の崩壊というのでしょう。
「地球デフォルト」が今回の債務危機の正体だと思っています。
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