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東芝の切り売りが止まりません。

東芝が三池発電所を「220億円」で売却です。

東芝、傘下の発電事業を220億円で売却　業績予想には織り込み済み　日経

東芝は24日、傘下のシグマパワー有明（東京・港）が運営する三池発電所（福岡県大牟田市）の石炭火力発電事業を投資運用会社に220億円で売却すると発表した。

売却を通じて財務基盤を強化する。

東芝は三池発電所の売却が連結純利益を100億円押し上げると見込む。

2015年の不適切会計発覚から東芝が売却した資産はこれです。

中国スカイワース社との当社インドネシア・テレビ工場等の売却に関する合意について 東芝

30億円

東芝、大分の半導体設備を190億円でソニーに売却　希望退職も実施 ITmedia NEWS

190億円

東芝、トプコン株の売却額491億円　売却益は301億円　ロイター

491億円

東芝ライフスタイル株式会社の株式譲渡完了に関するお知らせ　東芝

514億円

キヤノン、東芝メディカルの買収完了　6655億円　日経

6655億円

東芝、米事務所など70億円で売却　日経

70億円

東芝が青梅事業所　野村不動産に売却　土地１２万平方メートル、１００億円　東京新聞

100億円

東芝、フィンランド社株1180億円で売却完了　昇降機世界大手　日経

1180億円

東芝：港区高輪の社用迎賓館を９月に売却、旧三井財閥の元私邸　ブルームバーグ

東芝山口記念会館は、東芝が社交場として使用していた物件であり、売却額は非公表です。

東芝、保有株式の売却進める。まずはジャパンディスプレイ　ニュースイッチ

40億円弱（10数億の売却益）

東芝病院、売却を検討　債務超過回避狙い　朝日

これ以外にも東芝テックや東芝エレベータが売却候補であり、イギリスの子会社ニュージェン（ニュージェネレーション）の全株式も韓国企業に売却予定です。

もう売れるものは、何でも売りまくっています。

東芝が何故、優良企業、例えば稼ぎ頭の東芝メディカルシステムズや半導体事業を切り売り、タルタロスのような際限のない損失を生み出す原発事業を残そうとするのか中々分かりませんでした。

通常は優良な経営資源を残し、不採算部門を整理するはずですが、東芝は逆をしていた。

優良事業を売り、不良事業を残すという経営判断をしていた。

原発事業を切り離すことを決してしなかったわけです。

これが2月14日の東芝役員の会見まで分かりませんでした。

東芝には原発事業から引くに引けない理由があったわけです。

それがウェスティングハウスへの債務保証です。

原発事業から撤退すれば、スキャナ電力やサザン電力会社に東芝は「7934億9900万円」を支払わなければならない契約をしていた。

だから撤退できなかった。
24ページです。

ソース

ここで言う「客先」とは、スキャナ電力とサザン電力です。

「撤退なら違約金８０００億円」米原発やめられない東芝　毎日・経済プレミア

これだけひどい目にあった建設中の原発から、東芝が全面撤退することはできないのか。

その手がかりになる事情が、１４日に公表された東芝の資料の一番最後にあった。

「ウェスチングハウスに対する親会社保証」と書かれた１枚の資料だ。

それが上記の画像です。

もしいま、ウェスチングハウスが米国の原発４基の完成をあきらめて撤退すると、電力会社に「７９３４億円」の違約金を支払う義務があるということだ。

そして、東芝は親会社としてそれを保証しているのだ。

この保証は現時点も続いている。

すでに損失１兆円が発生した事業。

ここで退けば、さらなる地獄が待っているという状況の一端が、この１枚のペーパーに記されていた。

この「地獄の1ページ」は、資料の最後の方に目立たない形で記載されています。

東芝傘下のウェスティングハウス（WH/WEC)は、アメリカで以下の原発事業を受注しています。

AP1000とはウェスティングハウスの新型原子炉です。

サザン電力　ボーグル原発　3号機、4号機

スキャナ電力　V.Cサマー原発　2号機、3号機

この4基の原発が、東芝をタルタロスに落としているわけです。

この２つのプロジェクトのつい最近までの運転開始時期はこれです。

ソース

これが更に遅れます。

米スキャナ：東芝が原発完工できない場合は他社を探す可能性　ブルームバーグ

米電力会社スキャナは16日、財務悪化に苦しむ東芝が原子力発電所建設を完工できない場合、サウスカロライナ州で建設中の原発２基を完成させるため、新たな契約先を探すことになる可能性があることを明らかにした。

こうなりますと東芝は債務保証をする必要がでてきます。

スキャナは東芝が現行の契約に基づき、建設プロジェクトの遅延で生じ得る追加コストを負担するとの見通しを示した。

遅延による追加コストはソースにもありますが、100日辺り5億ドル（565億円）であり、2つのプロジェクトで10億ドルとなります。

東芝はスキャナに対して原発完工を約束したが、最初の原発完工時期は８カ月遅れて2020年４月に、２基目は４カ月遅れの20年12月になると連絡してきたという。

マーシュＣＥＯは電話会議で、「東芝側は完工させたいとわれわれに確認した」と述べた。

上記の画像を見て下さい。

V.Cサマー原発2号機は、2019年8月から8ヵ月遅れて2020年4月に、3号機は、2020年8月から4か月遅れて2020年12月と言っています。

こうしてずっと工期が遅延しているのです。

サザン電力のボーグル原発も同じです。

東芝、米原発の工期延長要請　損失拡大の恐れも　朝日

延長による費用増は公表した損失額に反映済みだが、さらに工事が遅れれば損失が拡大する恐れがある。

東芝は海外での原子力事業を縮小する方針だが、子会社への巨額の債務保証などが壁になっている。

東芝の米原発子会社ウェスチングハウス（ＷＨ）が建設を担うボーグル原発３、４号機を巡り、運営主体の米サザン電力は２２日、ＷＨから３～６カ月の工期延長の要請を受けたことを明らかにした。

ファニング最高経営責任者は電話での記者会見で、東芝の経営危機について「慎重に見ているところだ」と語った。

これですとボーグル原発3号機は、2019年6月から6か月遅れて2019年12月、4号機は2020年6月から3ヵ月遅れて2020年9月運転開始と取れます。

ところが現場の声では、ボーグル原発は更に工期が延長され現実的には2023年ごろだろうと言われています。

ＷＢＳ・アメリカ合衆国のボーグル原発の建設は２００８年に東芝参加となったウェスチングハウスらが開始。２０１１年３月の東京電力福島原発メルトダウン爆発事故で安全対策の強化が求められ、建設コストが暴騰。工期も伸びて、現場の声では２０２３年まで伸びる見込み！ pic.twitter.com/m4Iw5xbrq6

— kegasa (@kegasa2007) 2017年2月23日

この完工遅延を見れば、あくまで東芝が、この原発を完工させたいと言うならば、今後も膨大な損失を計上していくことが予想できます。

また撤退していくというならば、債務保証8000億円が重くのしかかります。

本日、東芝は4月1日から発足する新会社「東芝メモリ」を設立しました。

東芝、半導体事業分社は４月　社名は「東芝メモリ」　朝日

ここで4月以降、1年間かけて半導体事業の外部資本を3分の2導入して1兆円の資本調達を目指すようです。

東芝は3分の1を保有し、何としても筆頭株主でいたいようですが、銀行団が圧力をかけています。

3分の2ではなく、100%売却せよと言っています。

東芝、今日取締役会。銀行は半導体100％売却求める　ニュースイッチ

取引銀行はメモリー新会社の株式のできるだけ多くを売却するようプレッシャーをかけている。

先週末には主力取引行が東芝を訪れ、１００％売却の基本方針を正式決定するよう幹部に促した。

銀行側は、3分の2の売却では足りないと見ています。

仮に1兆5000億円の半導体事業を50%売却すれば、自己資本は急回復し、1630億円のプラスになり、債務超過から脱します。

東芝株で攻防　再建策にらみ強気派も台頭　日経

ＪＰモルガン証券の森山久史氏はリポートで「暫定的な試算」として、仮に半導体メモリー事業の価値が1兆5000億円で2017年度に50％を売却した場合、東芝の株主資本は1630億円に回復する可能性があると指摘する。

税金が、確か30%ほどかかるのではなかったか。

これですと100%売却した場合、7000億円弱ほどの自己資本にしかならず、債務保証に耐えられない。

しかも東芝には偶発債務があり、この全容が分からない。

ウェスティングハウスが受注した中国の4基の原発も完工が、既に3年遅れており、中国側当局は怒っています。

中国が本気になれば、ウェスティングハウスに勝ち目はないと言われています。

そのウェスティングハウスに本日、チャプター・イレブンの報道が流れました。

ＷＨに米破産法も選択肢、東芝　原発事業改革で　東京新聞

経営再建中の東芝が、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック（ＷＨ）について、米連邦破産法１１条（日本の民事再生法に相当）の適用申請を選択肢の一つとして排除せず検討することが２４日、分かった。

ウェスティングハウスの倒産まで視野に入ってきています。

もしそうですと、中国での原発にも偶発債務の疑義が生じます。

債務保証8000億円、追加工事費61億ドル（6893億円）、ランディス・ギアの減損1400億円、LNG事業の20年間で1兆円の損失リスク、中国原発での偶発債務、ウェスティングハウス株6000億円超の紙くず化、銀行融資8000億円等々。

中国の原発に関しては、東芝もウェスティングハウスも情報を公開しないので、誰もわからないのですけどね。

ただWECが倒産して、何の損失もないというのも考えにくい。

ただアメリカの原発に関しては完工しようとすれば工期遅延で損失が膨れ上がり、その損失を避けようとして原発事業から撤退すれば、債務保証8000億円が重くのしかかる。

だから報道では「原発アリ地獄」と言われる。

果たして東芝は、この「アリ地獄」から逃れることができるでしょうか。