ミズーリ州・セントルイスのワシントン大学で、アメリカ大統領選の第二回討論会がタウンホール形式(対話形式)で行われました。
トランプ氏は、前の討論会の挽回をしようとしたのでしょうが、討論会前にヒラリー氏の夫であるビル・クリントン氏にレイプされた4人の女性を引き連れ、討論会にも招待しています。
討論会が始まりますと、互いに握手すらせずに討論会が開始される異例の事態となりました。
90分の討論会のうちトランプ氏の発言は「40分10秒」であり、ヒラリー氏の発言は「39分05秒」でした。
討論はエネルギー問題、最高裁判事の問題、シリア問題等多岐にわたっていました。
最初の方はヒラリー氏の私用メール問題であり、ここで司会者は「FBIのコミー長官は、ヒラリー氏は110の機密文書の扱いが極めて軽率であり、その110件の機密文書のうち8件はトップ・シークレットであった」と質問しました。
ヒラリー氏は後悔している旨を述べておりましたが、トランプ氏は、ある意味徹底的に問い詰めています。
トランプ氏はヒラリー氏に面と向かって、
「もし私が大統領になれば、まず司法長官に対して指示を出し、特別検察官を任命し、メールの件を調査させます。
あなたは嘘と欺瞞が多すぎるからです。
前代未聞です。
FBIで長らくあなたを調査してきた人たちは、メール問題でみな怒っています。
国民も怒っています。
あなたは召喚状を受けたにも拘わらず、受けた後すぐに3万3000通のメールを削除しました。
たかが4通や5通のメールではなく、3万3000通ものメールをです。
あなたが犯した5分の1の罪を犯しただけで人生が破滅するのに、あなたはのうのうとしている。
あなたは恥を知るべきだと思う」
とトランプ氏が名指しで非難すると、ヒラリー氏は、
「トランプ氏の言うことは全て嘘ですが、驚くには値しません」
と切り返し、トランプ氏に、
「あなたは収監され、投獄されるからですね。」
と犯罪者扱いです。
その後色々と議論が続きますが、トランプ氏は中国がアメリカで鉄をダンピングして売っていると批判しますと、ヒラリー氏はトランプ氏が建設している建物は、そういった鉄で成り立っていると反論します。
またトランプ氏の弱点でもある「わいせつビデオ」問題で司会者は、
「あなたは女性はまさぐれる、合意がなくてもキスができるし、性器を触ることもできる、と言っていました」
という質問に関してトランプ氏は、それは11年前の発言であり、単なるロッカールームの冗談に過ぎないと言いました。
私のような発言はある意味、誰でも影で言っていることに過ぎないが、ビル・クリントン氏は言葉だけではなく実際、行動において行っている。
その中でも、わずか12才でレイプされたキャシー・シルトン氏をヒラリー氏は笑い飛ばしていたと反論しました。
ヒラリー氏とトランプ氏の相違は色々とありますが、その際立つ相違点とは、「減税のトランプか、増税のヒラリーか」という点です。
トランプ氏は、
「まずキャリード・インタレスト(成功報酬)を廃止します。
法人税は高すぎるために35%から15%に下げ、中間層にも減税します。」
というブッシュ減税を上回る減税策を提示しています。
「キャリード・インタレスト」とは、ヘッジファンド・マネージャーや資産運用者が給料やボーナスとしてではなく、上げた利益に応じて得る成功報酬のことであり、これは通常キャピタル・ゲインとして課税されます。
キャピタル・ゲインの最高税率は23.8%であり、所得税の39.8%より低いために税逃れではないのかという批判がありました。
トランプ氏は、「キャリード・インタレスト」をキャピタルゲインではなく個人所得、あるいは事業所得として課税すると主張しています。
しかして同時にトランプ氏は、所得税の最高税率を25%に引き下げるとも言っているために、結局はキャピタル・ゲインの税率と変わらなくなります。
ヒラリー氏は「キャリード・インタレスト」を所得税として課税することを主張しています。
しかもトランプ氏は、法人税まで15%に下げると言っているわけですから財源が抽象的です。
この点をヒラリー氏は、
「これが連邦所得税を20年も払っていない人の発言なんです。
ブッシュ減税を上回るトランプ氏の減税案は実施されると、いずれ中間所得層への増税につながり、数百万世帯が影響を受けることになります。
私の増税案は、年収25万ドル以下の人たち、これはアメリカ人のほとんどですが、この人たちには増税しません。」
と反論しています。
増税のヒラリーと減税のトランプです。
オーディエンス(聴衆)からオバマ・ケアに対する質問も出されました。
「オバマ・ケアによって保険料は急騰し、控除も自己負担額も跳ね上がった。
処方される薬代も上がり困っている、この点はどうか」
トランプ氏は、こう提案します。
「オバマ・ケアは大惨事であり、医療費の高騰からいずれ持続不可能になる。
オバマ・ケアは廃案にして、一から制度を見直した方がいい。
オバマ・ケアはトラックに轢かれても使えないんです。
保険会社同士を、もっと競争させた方がいい。」
これに対してヒラリー氏は、より具体的に政策を提案しています。
「まずコストダウンは必要であり、医療サービスの質も高めていかなければならない。
ただオバマ・ケアを撤廃し、また一から制度を見直すのは反対です。
オバマ・ケアにも色々と問題はあるが、オバマ・ケアによって今まで保険に入れなかった無保険の人たち2000万人が保険ありとなり、保険に入れるようになった。
1億7000万人もの企業を通して保険に加入している人たちでも、オバマ・ケアによって保険会社があなたの加入を、既往症を理由に断ることはできなくなったのです。
健康状態が、想定以上に悪化しても、その限界もなくなったのです。
また女性の方が男性よりも、保険料が高くなることもなくなりました。
また26才以下の場合、両親の保険に入ることもできるようになった。
これは今までにはなかったことです。
オバマ・ケアを廃案にすれば、これらの利点がすべて失われます。
現状、90%の人たちが保険の適用を受けている。
これは最も高い数字であり、私はこれを100%にもっていきたい。
もっとコストを下げて、質を上げていきたいのです。
オバマ・ケア以前は、癌や糖尿病があれば、保険会社は保険の適用外ですと言うことができたんです。
保険会社のすべて言いたい放題だったのです。
今、機能していないところは修正していきましょう。
保険会社のなすがままにさせておいてはいけません。」
全般的にトランプ氏は、政策に関して抽象的であり、具体的な部分にきますと細部で分からなくなる。
この点はヒラリー氏の方が具体性のある政策を提言していたように思います。
討論会終了直後のCNNとORCの世論調査が発表されていましたが、ここはもともと民主党支持者の多いところであり、差し引く必要がありますが、ヒラリー氏の勝利とみた人達は「57%」、トランプ氏の勝利と見た人達は「34%」でした。
ヒラリー氏自身は、これは第一回目の討論会後の世論調査ですが、こう流していました。
#DebateNight pic.twitter.com/x4oTfkIlHS
— Hillary Clinton (@HillaryClinton) 2016年9月27日
ヒラリー氏勝利が「62%」、トランプ氏勝利が「27%」とあります。
これと全く同じ映像でしたが、第二回目の討論会の世論調査ではヒラリー勝利が「57%」、トランプ勝利が「34%」でした。
これですね。
第二回の討論会直後の世論調査です。
CNN poll: 57 percent of viewers say Clinton won the debate POLITICO
トランプ氏がやや盛り返した結果となりました。
ネット世論は、また逆ですが、これは次回にします。
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