真理の柱 8

真理とは「神の心」であり、人間の心ではありません。

「完全なる神の心」とは、人の手による聖書や仏典、あるいは他の聖典に書かれているのではなく、我々の暮らす大宇宙や自然界に直接書かれています。

従って完全なる神の心への信仰とは、仏典や聖典を信ずることではなく、大宇宙や自然界を信ずることを言います。

大宇宙の本質が、人間精神の本質ですので、自己の心を最高度に悟れば、みな等しく「宇宙即我」の悟りに到達します。

誰の悟りであろうが、最後の最後は等しく「大宇宙」に到達するのです。

実際、大宇宙に到達した方々が住む霊域を如来界と言います。

如何なる個性の相違があろうが、自己の心を最高度に悟れば、みな大宇宙という同じ結論に到達しますので、個人であろうが、人類全体であろうが、その向かっている目的地には大宇宙の存在、すなわち神がいるということです。

個人であろうが、人類であろうが、文明であろうが、その目標とし、模範とすべきは、この大宇宙なのです。

善を信じ、正義を信じた者が、それを最高度に悟ることができましたならば、その到達点には、この同じ大宇宙が存在するからです。

逆から言えば、その個人の最終的な悟りが、大宇宙にまで到達していなければ、その悟りはまだ未熟な悟りなのです。

悟りに上限はありませんが、大宇宙に到達した後は、その大宇宙との合一の度合いが無限に深まっていくのです。

そしてその合一した大宇宙の奥から無限の価値が噴出してくるのです。

「救世の法」の基本は、この「宇宙即我」の悟りです。

「宇宙即我」の悟りを持っていない者は、「救世の法」を編纂することはできません。

大宇宙や自然界、並びに多次元世界に「完全なる神の心」が書かれているということは、人類の救済や幸福は、大宇宙や自然界、並びに多次元世界に依存しているということです。

大宇宙に記載されている「神の心」を読むことができなければ、人類の救済や幸福はないということです。

この大宇宙に表現されている「神の心」を読める者を、仏教では如来と言い、キリスト教では大天使と言います。

エマソンは自然を完全と言い、神の心と言うのは、人の手による聖典ではなく、神の手による自然界に書かれていると残しています。

ヘーゲルは理性的なものは、現実的であり、現実的なものは、理性的であると残し、神の心は宇宙や自然界に現実化しているのであり、大宇宙や自然界という現実的なものに神の心が書かれていると明確に悟っていました。

神とは完全なる正義であり、完全なる叡智です。

この完全なる正しさを言葉や書物で表現することは不可能なことであり、大宇宙や自然界にしか表現することはできません。

完全なる正しさとは、未熟な人間にとっては「永遠の理想」であり、その「永遠の理想」が、そのまま現実化している世界が、大宇宙であり、自然界です。

神において「理想」と「現実」は分かれておらず、「理想」と「現実」は永遠に一体です。

人間はその描く理想と現実に相違があり、分かれておりますが、神の創られた世界は、完全なる理想が現実化しているのです。

神は大宇宙や自然界を通して、人間は高い理想を描き、神の如くそれを現実化せよと永遠に教えています。

宇宙は神の心の表現体であり、完全なる正義が、宇宙や自然界として現実化しているのです。

大宇宙の存在を神と言いますので、人間にとって大宇宙とは「良きお手本」であり、「永遠の模範」です。

神の子である人間も神に倣えということです。

大宇宙に倣い、自然界に倣う生き方が、神の子の生き方です。

大宇宙や自然界こそが、人間に生き方を教えているからです。

ところが人間は、中々神のように理想と現実を一体化することができないのです。

理想と現実が一致せず、分かれているのです。

高い理想を描くことそのものが困難であり、いわんやその高い理想を現実化していくことも難しいのです。

それが神と人間との差であり、それを「未熟」と言います。

人間の中には簡単に神さまになってしまう人がおりますけれども、眼前に存在する大宇宙を良く見たほうがいいのです。

もし理想と現実を神の如く一致させることができなければ、それは神ではないのです。

未熟者なのです。

人間はみな等しく未熟者ということです。

神とは完全なる理想を永遠に現実化している存在であり、完全なる正義を思い描くこともできなければ、それを現実化することもできない人間とは違うのです。

宇宙は神の心の表現体であり、完全なる神の心が、常に現実化しており、理想と現実が永遠に一体になっています。

我々人間は、神の創られた完全な世界に住んでおり、みな神に生かされている存在です。

未熟な人間は、永遠に大宇宙を目指し、神の心を目指すことしかできないのです。

神は大宇宙や惑星、あるいは銀河や太陽、並びに自然界を創れますが、人間には造れないのです。

中東の神が、人間の創ったものを拝むなと説いてきたのは、人間の創れるようなものの中に善悪の基準もなければ、生死の基準もなく、幸不幸の基準もないからです。

それは神が創った大宇宙や自然界、並びに多次元世界にのみあるのです。

8次元菩薩界以下では、まだ物質を解脱しておりませんので、時間と空間を抜けた善悪の基準を説けないのです。

時空とは、イコール「物質」であり、物質とは相対的なものであると論証されたのが、アインシュタイン博士の相対性理論です。

物質を抜けられないとは、時間と空間を抜けられないということです。

菩薩以下では、まだこの時間経過で変化していく善悪や空間の位置変化によって変わっていく善悪しか認識できないのです。

300年以上前の日本では、敵（かたき）を討つ行為は、自己の名誉を守る道徳的で立派な行為とされておりましたが、現代において敵討ちを実行すれば、それは単なる人殺しであり、犯罪です。

単なる悪に過ぎません。

300年以上前は、「善」であった敵討ちが、300年時間が経過するだけで「悪」になるのです。

立つ立場によっても善悪は相対的に変化していきます。

イスラエルにとってパレスチナは悪ですが、パレスチナにとってイスラエルは悪なのです。

空間の位置変化によっても善悪が変わり、時間経過によってもその善悪が相対的に変化していくのです。

菩薩以下は、まだこういった善悪しか認識できないのです。

数百年前のヨーロッパでは、魔女裁判は正義であり、「善」でしたが、数百年経過した現代で魔女裁判をすれば、それは単なる迷信であり、冤罪に過ぎず、「悪」になるのです。

かつて「善」と認識していたものが、時間が経過するだけで「悪」となり、空間の位置変化によっても「善」が「悪」になるのです。

菩薩以下は、まだこういった相対的な善悪しか認識できないため、絶対的な善悪の基準である神の心を説けないわけです。

悪気があるのではなく、物質（時空）に比喩した方便の善しか説けないために、多次元世界では9次元如来界の下に置かれているのです。

如来より少し神の心から遠いわけです。

菩薩の悟りで地球や人類を救うことができないのは、これが理由です。

時間と空間を超えた「永遠」を悟っていないために救うことができないのです。

菩薩以下の悟りでは、時間経過と空間の位置変化で変わっていく相対的な善悪しか説けませんので、過去・現在・未来の全人類に普遍妥当する不変の善悪の基準を説けないわけです。

善悪の基準が、未だ相対的なのです。

相対的な善悪の基準が、人類に普遍妥当する善悪の基準にならないのは、現代の人類が認識している善悪にもそのまま妥当するからです。

現代でも、これが善であり、これが正義であると主張される人もおりますけれども、それは本当に善なのでしょうか。

本当に正義なのでしょうか。

1000年後の人間もそれを善であると言うでしょうか。

時間の経過や立つ立場によっても変化しない善でしょうか。

もし時間と空間、あるいは立つ立場によって変化するような善であるならば、それは人間が信ずるべき神の善ではないのです。

300年前、敵討ちをしていた人は、現代のように悪だと思って敵討ちをしていたわけではなく、善だと信じて敵討ちを行っていたのです。

しかしてその敵討ちを、300年経過した現代で行えば、それは単なる犯罪なのです。

それは現代において、これが善だと信じて行っている人と同じなのです。

現代人が善だと信じて行っているその利潤の増加は、今から300年後の人類には、気候変動を引き起こした悪と認識されることになるでしょう。

現代人も利益を悪だと思って増加しているわけではないのです。

善だと思って利益を増加しているのです。

それは300年以上前、善だと思って敵討ちをしていた人と同じです。

いずれその現代人が行っている利潤の増加は、悪と言われるようになるでしょう。

そしてそれは善を信じていたのではなく、悪を信じていたことになるのです。

善と認識しているものが、いずれ悪となり、悪と認識されているものが、いずれ善になるのです。

これが相対的な善悪の基準では、人類に普遍妥当する善悪の基準にならない理由なのです。

菩薩以下の善悪の基準では、一体何が善であり、一体何が悪なのかが分からなくなるのです。

時間経過と空間の位置変化、並びに立つ立場によって善悪がコロコロと変わるからです。

現代において自分が善だと信じているその価値観が、時間が経過するだけで、いずれ悪と言われるような価値観であれば、人は善を信ずることができなくなるのです。

自分は善だと信じていたけれども、立つ立場によっては悪となり、時間が経過しても悪になるとすれば、その善は、少なくとも神の善ではないのです。

自分の信ずる善が、立つ立場によっては悪になり、時間が経過しても悪になるならば、善悪の価値観が目の前で崩壊し、何も信じられなくなるのです。

自分が頑なに善だと信じていたものが、実は悪だったのだとなれば、善を信じ、実行することができなくなるのです。

一体、何を基準に、これが善であり、これが悪であると決まっているのかを知らなければ、人は正義や善を信じたり、行ったりすることができなくなるのです。

いい加減な善悪の価値観で、不用意に善であると信じて実行したその価値観が、実は300年後には悪と言われるならば、それは善を信じていたのではなく、悪を信じていたのであり、善を実行していたのではなく、悪を実行していたことになるからです。

多くの宗教団体がこれです。

数百年前、魔女裁判をしていた裁判官は、正義であると信じて裁いていたのです。

ところが現代の価値観で言えば、その裁判官は悪を信じて裁いていたのです。

それは現代人が信じている善悪の価値観にもそのまま妥当しているのです。

現代において善だと信じて実行している人も、実は悪を信じて実行しているかもしれないのです。

だからこれだけ世界が腐敗しているとも言えます。

カントの言った「まさに善を為すべし」という道徳的命令も、一体何を基準にこれが善であり、これが悪であると決まっているのか、その善悪の不変的な基準を知らなければ課すことはできないのです。

神の善悪の基準は、時間経過や空間の位置変化、あるいは立つ立場によっても変化しません。

菩薩以下の善悪の基準は、時間経過や空間の位置変化、あるいは立つ立場によってこの善悪が変化するのです。

過去・現在・未来を通して変わらない善悪の不変的な基準を知らなければ、人は善を行うことができなくなるのです。

今、信じている善が本当の善か否かが分からなくなるからです。

すなわち神の存在がなければ、人は善行ができなくなり、人類と世界を良化していくこともできなくなるのです。

神への信仰もなく、善悪の不変的な基準も知らず、それでも勝手に思ったり、行ったりしているから人類と世界が悪化しているのです。

時間経過や空間の位置変化、並びに立つ立場によっても永遠に変化しない善悪の不変的な基準とは、大宇宙の存在であり、自然界の存在であり、多次元世界なのです。

過去・現在・未来を通して永遠に変わらず、人類に普遍妥当している善悪の基準とは「大宇宙」、すなわち神の存在なのです。

宇宙即我が善であり、宇宙と我とが離れれば悪なのです。

自然即我が善であり、自然界と我とが離れれば悪なのです。

神人合一が善であり、神人分離が悪なのです。

実は過去の人類も全てそうだったし、未来の人類も全てそうなのです。

宇宙と合一すれば善であり、宇宙と離れれば悪なのです。

人間が、果たして「善の存在」になるのか、あるいは「悪の存在」になるのかは、ひとえに大宇宙や自然界、並びに多次元世界の存在に依存しているのです。

すなわち人間は、ただ神の存在によってのみ善となるのです。

従って神の存在を失った人類は「悪の存在」になるしかありません。

イスラエルであろうが、パレスチナであろうが、宇宙と合一していれば善であり、離れていれば悪なのです。

資本主義や新自由主義で、利益の最大化を目的とし、神が永遠に「地」と定めている相対的な利益や快楽を「天」に置いておりますと、それを永遠に「地」に置いておられる大宇宙と離れてしまいますので悪と断定していいのです。

人民共通の利益に基づいた国家契約である民主主義も、その本質は相対的な利益であり、これも神が永遠に「地」と定めている利益を「天」に置いておりますので、大宇宙と離れているのです。

宇宙即我が善であり、宇宙と我とが離れれば悪ですので、これも神御自身の目から見て悪と断定していいのです。

この善悪の不変的な基準を知らないために、世界と人類は悪化を続け、悔い改めることができなければ、どこかの救世主のように使命を果たすこともなく、死んでしまうのです。

利益と快楽を「天」に置けば、それを永遠に「地」に置いておられる自然界と必ず対立するのです。

だから自然界と生態系を荒らし回っているのです。

自然界とは神そのものですので、自然界と対立して生き残れる文明は存在しません。

悔い改めることができなければ、いずれ国破れて山河在りとなるのです。

自然界とは神そのものですので滅ぶことはありません。

滅ぶのは、いつでも自然界と対立した文明のほうなのです。

過去・現在・未来の全人類に普遍妥当している善悪の不変的な基準とは、大宇宙であり、自然界であり、多次元世界であり、神そのものであるということです。

過去の人類であろうが、未来の人類であろうが、善悪の基準が変わることはなく、宇宙と合一すれば善であり、合一できなければ悪なのです。

神の心と合一すれば善であり、神の心と合一できなければ悪なのです。

神人合一が善であり、神人分離が悪なのです。

科学的には、相対性理論によって宇宙には相対的な権威しかありませんが、宗教的には絶対的な権威を持っているのです。

過去・現在・未来の全人類の善悪の永遠の基準になっているからです。

人類の生死の基準であり、幸不幸の基準です。

全人類を永遠に支配している善悪の不変的な基準も真理の柱の一つです。