Creator's Room

消費者物価指数が発表されました。

消費者物価指数　10月分　総務省

10月のCPI（総合）は「0.3%」、コアCPI（生鮮食品を除く総合）は「マイナス0.1%」、コアコアCPI（食料及びエネルギーを除く総合）は「0.7%」でした。

日銀のターゲットはコアCPI（生鮮食品を除く総合）であり、これを「2%」に上げるまで量的・質的金融緩和（QQE）を継続すると言っています。

コアCPIは3か月連続の「マイナス0.1%」であり、デフレです。

これほどの膨大な金融緩和を2年7ヵ月継続しても物価が上がらないわけです。

当初の2年以内にコアCPI「プラス2%」の公約は反故にされています。

今では「2016年度後半ごろ」と時期をずらしています。

日銀は色々と言い訳を考えてきたわけですが、今月から「日銀版コアコアCPI」という新たな物価の尺度の公表を開始しました。

これは従来、「新型コア」、「日銀版コア指数」、あるいは「新型コアコアCPI」と言われてきたものであり、これを公式に公表することを決定しました。

日銀、ＣＰＩ発表日に日銀版コアコア指数など公表へ　ロイター

リンク集に入れてありますけれども、今月から総務省が公表している消費者物価指数と共に今後、この「日銀版コアコアCPI」、いわゆる「新型コア」が公表されます。

日銀は今夏からこの「新型コア」を重視する方針に転換しています。

いくら金融緩和をしても、物価が全然上がらないものだから苦肉の策ではないか?

この「新型コア」、「日銀版コアコアCPI」というのは聞きなれない指標ですが、それもそのはずであり、今年の7月からいきなり出てきた指標です。

今までは「金融経済月報」においてしか公表されてきませんでした。

その7月の金融経済月報でも具体的な指数はなく、グラフだけでした。

具体的な指数が出てきたのは8月の金融経済月報からでした。

日銀が金融経済月報で公表してきた「新型コア」の指数は下記です。

5月の「新型コア」は「プラス0.7%」

6月の「新型コア」は「プラス0.7%」

7月の「新型コア」は「プラス0.9%」

8月の「新型コア」は「プラス1.1%」

9月の「新型コア」は「プラス1.2%」

金融経済月報　（「除く生鮮食品・エネルギー」で検索）

そして10月の「日銀版コアコアCPI」は、「プラス1.2%」で横這いでした。

日銀版コアコアCPI

ソース

従来、総務省が発表してきた消費者物価指数と日銀が今回公表を決めた「日銀版コアコアCPI」は何が違うのか?

このPDFが分かりやすいかもしれません。

1ページほどのPDFです。

強化コア物価で2％目標達成も　第一生命経済研レポート

生鮮食品を除くのは葉物野菜などの価格がしばしば大幅に変動するため、物価の基調を判断するには、それを除いた方が適切という判断に基づいている。

また、昨今のように原油価格が大幅に変動した場合も物価の基調が把握しにくくなるため問題だ。

そこで登場するのが、コアコアCPIと呼ばれる食料・エネルギーを除いたベースの尺度だ。

最近では、原油価格の大幅な下落を反映してコアCPIは前年比0％近傍まで低下する一方、コアコアCPIは0％台半ばを維持しており、両者に乖離が生じているが、その大部分は原油価格下落で説明可能だ。

日銀は7月金融経済月報で新たな物価の尺度を紹介した。

それは「除く生鮮食品・エネルギー」という尺度だ。

ややこしくて恐縮だが、別の言い方をすると、コアCPIからエネルギーを除いたものだ。

日銀がターゲットにしている「コアCPI」からエネルギーを除いたものであり、原油価格下落の影響で約束した「コアCPI」が上がらないためにエネルギー（原油価格）を取り除いた指数にしたのですね。

葉物野菜などの生鮮食品は天候や季節といった外的要因によって価格変動が大きい場合があり、これを入れると物価の基調が判断しずらくなるために生鮮食品を除いた「コアCPI」をターゲットにしてきたわけですが、昨今の原油価格下落でも、これを入れますと物価全体の基調や傾向が判断しずらくなるために原油価格の影響を受けない指数を考案したのです。

これが「日銀版コアコアCPI」です。

要は生鮮食品と原油価格の影響を受けない指数です。

ある意味都合のいい指数です。

コアコアCPIとは「食料及びエネルギーを除く総合」ですが、この「食料」とは「米類、生鮮食品、鶏卵に加え、菓子類など酒類以外の他の食料すべて」が含まれているわけですが、日銀版コアコアCPIは「生鮮食品だけ」です。

何としても物価を高く見せたいわけですね。

そのために色々と考えるわけです。

それでも10月のコアコアCPIは「0.7%」と先月9月よりも「0.2%」低下しました。

「日銀版コアコアCPI」10月は「1.2%」であり、物価上昇率「2%」に近くなります。

またこの「日銀版コアコアCPI」が上昇基調を維持している限り、日銀は追加の金融緩和に踏み込むことはないとアナウンスしています。

今月は横ばいでしたけれども、一応今までは上昇基調ですね。

従って今のところ日銀は追加の緩和はしないということです。

ゼロ・ヘッジは日銀は追加の緩和を「しない」のではなく、「できない」と言っておりましたが、どちらが正しいのでしょうね。

総務省発表のコアCPIは3か月連続で「マイナス0.1%」です。

すなわち物価は下落しているわけです。

「マイナス0.1%」の数字をじっと見ながら、黒田総裁の言う、

「物価は上昇している」

と言う部分を聞きますと笑えます。

じっと「マイナス0.1%」を見ながら、黒田総裁の、

「物価は着実に上がっている」

「物価はかなり上っている」

「物価は上昇基調にある」

という部分を聞きますとどうしても笑ってしまいます。

「物価は着実に上昇している」

笑えます。