アマゾンの熱帯雨林の損失は、ティッピング・ポイント(転換点)と言われる「20%」に達したようです。
‘The tipping point is here, it is now,’ top Amazon scientists warn Mongabay
アマゾンの熱帯雨林が、枯死し、サバンナに変わるフィードバックを「ダイバック(dieback)」と言いますが、アマゾンの「20%~25%」が失われれば、この「ダイバック」のプロセスが引き起こされると言われてきました。
「ダイバック」が始まりますと人間の介入や干渉は意味をなさず、不可逆的に熱帯雨林がサバンナと化していきます。
あの生物多様性の宝庫である熱帯雨林が、枯渇し、サバンナとなり、「1400億トン(140ギガトン)」の温室効果ガスが大気中に放出されるわけです。
これが起これば、ほぼパリ協定の「1.5℃未満」に抑制するという目標は不可能になると言われています。
専門家は、今我々はダイバックの瀬戸際におり、運命の瞬間に立ち会っていると言っています。
ティッピング・ポイントは、まさに今であると言っています。
アマゾン東部の乾燥化は、気候フィードバックの最初の兆候と見られています。
海からの水蒸気と熱帯雨林からの水蒸気が立ち上り、双方の水蒸気によって雲が作られ、それが降雨となり、肥沃な熱帯雨林がバランスを保ってきたわけですが、森林が一方的に伐採され、樹木が失わていきますと熱帯雨林からの水蒸気が激減し、同時に降雨量も激減し、熱帯雨林全体が乾燥していきます。
熱帯雨林の乾燥化が進めば、また森林火災も増加していくというフィードバックに陥る。
アマゾンの水循環サイクルにも問題が出てくる。
アマゾンの水循環サイクルは、アンデス山脈によって遮断されているチリを除いて、アメリカ大陸全体に水分を分配しています。
アマゾンがダイバックによって完全にサバンナと化した場合、テキサス州の降雨量は25%減少し、シエラネバダの積雪量は半分になり、北西部の海岸では降水量が最大20%減少します。
既にアマゾンの破壊は「20%」に到達した。
現在のペースで森林破壊が続けば、2030年までにアマゾンの「27%」が失われると推定されている。
10年前は「60%」の破壊と言っていたのですが、どちらが正しいのかは分かりません。
どちらにしろここまで破壊されれば、ダイバックのプロセスが開始される。
科学者は、既に不吉な兆候が出ており、現在のアマゾンでは水分を必要とする種が枯れており、水分を必要としない乾燥した気候を好む種が繁栄していると言っています。
率直にいって今のアマゾンは、これ以上の森林伐採に耐えることはできず、森林再生ブログラムを必要としている。
ところがボルソナーロ大統領には、そういった計画はなさそうだとあります。
恐らくこの大統領は、更にアマゾンを破壊していくと思います。
アマゾンの森林火災は「4万3000平方キロ」でしたが、これは九州全土よりも大きい面積であり、この巨大な森林火災は、やはり急速にティッピング・ポイントを引き寄せたようです。
自然界が崩壊する前に人類と文明の方が先に崩壊すると思ってますけどね。
オーストラリアも12月の最高気温が続々と更新されています。
南オーストラリア州・ヌラーバーでは「49.9℃」を記録しており、西オーストラリア州・ユークラでは「49.8℃」を観測し、記録を更新しています。
ホープトン空港とホーシャムでも記録は更新されており、「47.9℃」を記録しています。
山火事の焼失面積も、四国の面積(1万8298平方キロ)どころの話ではなくなっています。
NSW and SA fires: five million hectares burned in Australia’s bushfires – as it happened ガーディアン
ニューサウスウェールズ州と南オーストラリア州の山火事で、現在「500万ヘクタール(5万平方キロ)」が焼失しています。
これは九州全土の面積(3万6782平方キロ)を超えています。
今年のアマゾンの森林火災の面積「4万3000平方キロ」も超えている。
凄い森林火災なわけです。
焼失家屋は現時点で「873棟」の家屋に「2048棟」の建物が破壊され、「353棟」が損傷している。
ただインド洋ダイポールモード現象が弱まっており、来年の1月上旬には消失するようであり、オーストラリアと世界の気候への影響は、2020年の秋までは限定的となるようです。
Positive Indian Ocean Dipole weakens
ただこの広大な森林火災で温暖化ガスが、どれほど大気中に放出されたのでしょうかね。
去年の10月に報告されたIPCCの「1.5℃特別報告書」では、カーボンバジェットの上限が300ギガトンほど上積みされていました。
従来「2兆9000億トン(2900ギガトン)」が2℃の上限でしたが、特別報告書では1.5℃未満の二酸化炭素累積排出量が「3兆3170億トン(3170ギガトン)」ほどになっています。
産業革命前から今まで「2兆4000億トン(2400ギガトン)」ほど排出しておりますが、残余カーボンバジェットは「770ギガトン」となっており、これですと1.5℃未満に抑えるには、累積排出量を「3兆3170億トン(3170ギガトン)以下」に抑えなければならないことになる。
それでも1.5℃未満に抑えられる可能性は「50%超」です。
1.5℃未満に抑制する可能性をより高め「66%超」にするには、あと「5700億トン(570ギガトン)」しか排出できない。
2018年の温室効果ガス排出量は「55.3ギガトン」ですから「770ギガトン」で割りますと「13.9年」となり、2033年に到達する。
「570ギガトン」ならば、「10.3年」となり、2030年に到達し、今後10年が勝負となる。
温暖化ガスには慣性があり、今すぐに温暖化ガスをゼロにし、森林の伐採をすべてやめても「0.5℃~0.6℃」は気温は上昇すると予測されています。
つまり今すぐにゼロ・エミッションを達成しても、既に気温は「1.1℃」上昇しているために「1.6℃~1.7℃」の上昇は避けられないことになる。
専門家によって意見は異なりますが、オーストラリアのシンクタンク「ブレイクスルー」は、2030年までに気温は「1.6℃」上昇し、2050年までに「3℃」上昇すると推定しています。
そして1.5℃の上昇で西南極氷床が崩壊を始め、2℃の上昇でグリーンランドの氷床が融解を始める。
1.5℃でグリーンランドの氷床が全面的な崩壊を始めるという報告もあります。
不確実性があり、未知の要因もあるのでしょうが、大体1.5℃~2℃の範囲でグリーンランドや西南極氷床が融解を始めると認識しておいていいのでしょう。
専門家は気温が2℃上昇すれば、人類は必ず思い知ることになると言っていました。
そして世界の平均気温が「3℃」上昇すれば、人類は気候を制御できなくなり、温暖化が暴走していく。
そして生き残れる人類は、「5億人」ほどだろうと言っていた専門家もいましたね。
地球温暖化時計というのがあります。
これです。
情報源: Climate Clock | Human Impact Lab
一番上の「1.13192・・・」というのは、産業革命前からの世界の平均気温の上昇であり、「1.13192℃」上昇している。
その下は、気温が「1.5℃」に到達するまでの残り時間であり、この時計ですと残り12年と11か月で1.5℃に到達する。
2032年です。
そして一番下が産業革命前から今まで人類が大気中に排出してきた温室効果ガスの累積排出量です。
「2兆3427・・億トン」とあります。
人類滅亡まで12年と11か月ということです。
この温暖化時計は、1年ごとに最新の科学的知見と研究成果を加味して更新されます。
今年は今月の12月12日に更新されています。
【地球温暖化時計】「1.5度」までのカウントダウン NEWSWEEK
この記事は残り「16年」とありますが、去年の数字で言っており、最新では「12年11か月」です。
恐らく1.5℃未満どころか、2℃未満も抑えることはできないだろうと思っています。
諸神霊が世界経済に大打撃を与え、温室効果ガスを劇的に減少させるか、あるいは徐々に減少させるように世界経済を抑制していくのではないか。
恐らくここ1、2年中にね。
人類はこの気候変動問題を自力で解決できないだろうと思う。
まだ温暖化ガスと言う物質のせいにしていますからね。
決して心を悟ろうとしない。
結局、最後は神頼みだろうと思っています。
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