メキシコでは、10月9日から始まった豪雨による洪水で甚大な被害が出ています。
今のところ死者は「64名」、行方不明者は「65名」出ています。
10万棟以上が被害を受けています。
メキシコ国内の32州のうち31州で激しい豪雨に見舞われており、河川の氾濫や浸水、土砂崩れ、あるいは道路や橋の崩落が相次いでいるようであり、シェインバウム大統領は3300人の兵士を災害派遣し、救助活動をしているようです。
特にメキシコでは、今年1年を通じて激しい雨が続いており、首都メキシコ市では、降雨量の記録が更新されています。
これも気候変動の影響です。
13日目に入ったアメリカ連邦政府機関の一部閉鎖が、経済に影響を及ぼし始めています。
米政府閉鎖の影響、実態経済に波及しつつある=財務長官 ロイター
ベセント米財務長官は13日、13日目に入った連邦政府機関の一部閉鎖が米経済に影響を及ぼし始めていると警鐘を鳴らした。
ベセント長官はFOXビジネスの番組で「事態は深刻化している。
実体経済に影響が出始めている」と語った。
具体的な詳細には踏み込まなかったものの、「状況を調整しなくてはならず、首都ワシントンおよび全米の職員を一時帰休をせざるを得ない」とし、米軍兵士への給与支払いを可能にするために、国立博物館や動物園などに従事する職員やサービスへの支払いを保留したと述べた。
農家への支援が停滞しているという認識も改めて示した。
15日に公表が予定されていた9月のCPI(消費者物価指数)は、10月24日に公表されるようです。
3日に予定されていた9月の雇用統計は、未だ遅延しています。
今月(28日、29日)のFOMC(連邦公開市場委員会)では、利下げされる可能性が極めて高いわけですが、政府機関の閉鎖によって経済データが欠落しているため、政策判断が難しくなる可能性があります。
トランプ大統領の支持率も低下傾向です。
10月6日には、純支持率(支持率と不支持率の差)は、「マイナス11.2%」でしたが、更に低下しています。
経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブの10月8日の世論調査では、トランプ大統領の支持率は「39%」であり、不支持率は「56%」です。
純支持率は「マイナス17%」まで低下しています。
トランプ2.0での過去最低の純支持率は「マイナス18%」ですので、過去最低に近いのです。
世論の動向でも、今後のアメリカ経済に関して悲観的な人が増えています。
1年後のアメリカ経済は、改善していると予想した人は、9月は「29%」であり、2月の「40%」、4月の「36%」から低下しています。
逆に1年後のアメリカ経済は、悪化していると予想した人は、9月は「46%」であり、2月の「37%」、4月の「45%」からこちらも悪化しています。
与党共和党でも、1年後のアメリカ経済は、改善していると予想した人は「55%」であり、2月の「73%」から急落しています。
ほぼアメリカの半分の人が、1年後のアメリカ経済の悪化を予想しているのです。
2025年、ノーベル経済学賞を受賞した3名のうち「2名」がトランプ大統領の関税政策を批判しています。
ノーベル経済学賞、技術革新と成長の研究 トランプ政策を批判 ロイター
スウェーデンの王立科学アカデミーは13日、2025年のノーベル経済学賞をジョエル・モキイア氏、フィリップ・アギオン氏、ピーター・ホーウィット氏の3人に授与すると発表した。
「3氏は、持続的な成長を当たり前と考えてはならないことを教えてくれた」とした上で、そのうちの2人はトランプ米大統領の通商政策が成長に悪影響をもたらすと指摘したと述べた。
(アギオン氏は)脱グローバリゼーションと関税障壁は「成長の障害」とした。
「開放性を妨げるものは全て成長の障害となる。
現在、貿易と開放性への障壁を押し進める暗雲が立ち込めていると感じる」と述べた。
(ホーウィット氏は)「関税戦争を始めれば、誰にとっても市場規模が縮小するだけだ」
製造業の雇用を米国に戻す試みは政治的には意味があるかもしれないが、良い経済政策ではないと述べた。
トランプ大統領にとっては手厳しい批判ですが、良識的な批判です。
アギオン氏は「暗雲が立ち込めていると感じる」と述べていますが、IMFや世銀も市場リスクに警鐘です。
【焦点】AI株バブルに警戒感、IMF・世銀総会で市場リスク議題に ブルームバーグ
各国・地域の中央銀行当局者は既に貿易摩擦や公的債務の拡大を不安視しているが、来週には新たな懸念に直面することになる。
市場急落のリスクだ。
(IMFのゲオルギエワ専務理事は)「もし急激な調整が起きれば、金融環境の引き締まりが世界の成長を押し下げ、脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにし、特に新興国にとって厳しい状況をもたらしかねない」と警告した。
イングランド銀行(英中央銀行)は「市場で急激な調整」が起きるリスクを警告し、欧州中央銀行(ECB)当局者も懸念を表明した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)も今月、脆弱性に言及した。
世界各国の中央銀行当局者が、債務の拡大を不安視し、株価の急激な暴落を警告しているのです。
ECB当局者は、「突然かつ急激な価格調整」の報告を受けておりますし、パウエル議長も今の高い株価は「高く評価されている」と述べています。
今の株価は、1か国、2か国の話ではなく、世界中で不安視されているのです。
世界中で株価が暴落しますと、世界恐慌さえ引き起こしかねません。
それでなくとも世界経済の中心であるアメリカ経済が不安視されているわけです。
ドラッケンミラー氏は、アメリカ国債の暴落を「2026年前半」までと予想しており、レイ・ダリオ氏は「3年前後」と予想しています。
またレイ・ダリオ氏は、アメリカ国債が暴落を回避できる可能性は「5%だ」と言っています。
アメリカ国債の暴落は、ほぼ回避不能と見ているようです。
シートベルトならぬ、パラシュートが必要になるかもしれません。
ケネス・ロゴフ氏は、ドルの暴落によるドル危機をあと「4年」と予想しています。
似たり寄ったりです。
今後、トランプ大統領の減税法案によって、アメリカの財政赤字は急増していきます。
減税法案は、関税の引き上げと政府支出の削減を財源にすることが前提だったわけですが、政府支出の削減は、ドージ(政府効率化省)で失敗しておりますし、関税もうまくいくとは思えません。
財源の裏付けのない減税をしようとしたため、ポンドとイギリス国債の暴落を招いた「トラス・ショック」が、アメリカで起きても驚きません。
「トラス・ショック」が「トランプ・ショック」になったりしてね。
ドルとアメリカ国債が暴落して、インフレからハイパーインフレになり、世界恐慌が始まって、資本主義が終わったりしてね。
「終わり」は、次の新しい文明の「始まり」です。
中国のアメリカ離れが進んでいます。
9月のアメリカ向けの輸出は前年比「マイナス27.0%」であり、アメリカからの輸入は前年比「マイナス16.1%」になっています。
対米輸出は「6か月連続」のマイナスであり、対米輸入は「7か月連続」でマイナスです。
関税の掛け合いでエスカレートした4月以降、着実に中国の脱アメリカ化が進んでいます。
中国の輸出総額全体は、前年比「8.3%増」と増えておりますが、これはアメリカ以外への輸出が増えているためです。
ASEAN(東南アジア諸国連合)が「15.6%増」、EU向けが「14.1%増」、アフリカ向けが「56.4%増」、日本向けも「1.8%増」であり、アメリカが蚊帳の外です。
世界経済大国「第1位」と「第2位」が、競い合っているわけです。
通常、中国のほうからアメリカにケンカを吹っかけることはないのですが、今回は中国のほうから仕掛けています。
中国産レアアースの軍事利用を禁止したのです。
輸出に規制をかけています。
中国、レアアースと関連技術の輸出制限強化へ-米中摩擦の火種再燃も ブルームバーグ
中国政府はレアアース(希土類)に関する輸出規制を強化する方針を示した。
米中摩擦の火種となってきた分野で制限を一段と拡大する。
レアアースの採掘、磁石の製造、鉱物のリサイクルに関する技術も同省の許可がない限り禁止される。
軍事用途に関しては原則として許可されず、半導体の研究・開発に使われる一部のレアアース製品については個別に審査を行うとしている。
トランプ政権の弱点が「金利高」と「レアアース」にある点を突いてきました。
アメリカは、レアアースをほぼ「100%」近く中国に依存しています。
中国は、レアアースの軍事利用を許可しないと言っておりますが、アメリカの主力産業である軍事企業が、最もレアアースを必要としているのです。
アメリカは、何か中国に嫌われるようなことでもしたのでしょうか。
トランプ政権に「切り札(トランプ)」を出しています。
F-35戦闘機には、400キログラムのレアアースが必要となりますし、パトリオット・ミサイルには、4キログラムのレアアースが必要なのですが、中国は軍事利用を許さないと言っています。
空母やレーダー、戦車にもレアアースは必要ですが、アメリカに軍事兵器を作らせないという思惑でしょうか。
対中抑止力の切り札「F-35B」製造に必須 日米は海底レアアースの開発を急げ zakⅡ
「米国は軍事兵器の製造に必要なレアアースを中国からの輸入に依存しており、レアアースが米国に対する『切り札』となる」
《最新鋭のステルス戦闘機であるF-35を1機製造するのに400キロ以上のレアアースが必要であるほか、パトリオットミサイルには4キロのネオジム磁石が必要》
《短期間のうちで米国が国内にレアアースサプライチェーンを作ることは極めて困難だ》
この中国の酷い仕打ちを受け、トランプ大統領は即座に「100%の追加関税を課し、130%の対中関税にする」と報復を宣言していました。
10月31日と11月1日に、韓国の慶州で開催されるAPEC首脳会議で、習近平国家主席とトランプ大統領は会談する予定だったのですが、直ぐに「会談しない」と言ったかと思えば、結局「する」ようです。
よくTACOります。
130%の中国への高関税も11月1日から課すと言っておりますが、これもTACOるでしょう。
レアアースの件は、アメリカが折れるしかありません。
電気自動車やスマートフォン、あるいはバッテリーも創れなくなり、アメリカの軍事企業やハイテク企業が撃沈してしまいます。
トランプのリア王化で受けたことがありますが、このレアアースの件では、本当にトランプ大統領は、リア王化するかもしれません。
モルガン・スタンレーは、11月1日までに米中貿易摩擦が解消されなければ、株価は最大「11%」下落するリスクがあると言っています。
ドル資産からの逃避が進む中、ゴールドは「4150ドル」を突破し、うなぎ登りの様相を呈してきています。
ゴールドが上がれば、ドルは下がりますので、この急激な上昇を見ておりますと、今後のドル安か、あるいはドルの暴落を予告しているのかもしれません。
IMFや世界銀行、あるいは世界各国の中央銀行が、暗雲を見つめるように不安を抱いている今の世界は、何か虫の知らせのようなものを感じているのかもしれません。
神の体(利益と快楽)を「天」に置いた世界が、いつまでも続くことはありませんからね。
次世代の文明は、大宇宙や自然界と同様、神の心を「天」に置き、神の体を「地」に置いた「天地一体の文明」であり、「宇宙即我の文明」です。
これ以上に優れた文明論がありますならば、そちらに大人しく席をゆずりますけどね。
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