国際

トランプ・ショック

日本時間4月5日にパプアニューギニアでマグニチュード7.2の大地震が起こっています。

ソース

USGSではマグニチュード6.9です。

M 6.9 – 194 km ESE of Kimbe, Papua New Guinea USGS

震源の深さは「10㎞」と浅い地震ですが、津波の心配はありません。

コンゴ民主共和国の首都キンシャサでは、4月4日の夜から5日にかけて豪雨に見舞われ、6日までに「30名」が死亡しています。

キンシャサ郊外の貧困地区が壊滅的な被害を受け、首都の大部分が麻痺しています。

キンシャサの奇跡」で有名な都市ですが、モハメド・アリがジョージ・フォアマンをKOしたことで有名になりました。

3月28日、マグニチュード7.7の大地震に見舞われたミャンマーですが、被害が拡大しています。

ソース

現時点での死者は「3564名」であり、大変な被害になってしまったわけですが、ミャンマーは内戦中であり、正確な被害者数ははっきりしないようです。

街の中心部以外では、ほとんど捜索が行われておらず、多数の放置された建物もあり、気温が40℃前後に上がる中、「死臭」が立ち込めているようです。

コレラなど伝染病の感染が拡大するリスクも高まっており、北部ザガイン管区など軍政の支配が及ばない地域では、被害状況の把握が難しく、実際の死者数はこれより多いものと思われます。

アメリカは、この地震に「900万ドル」の拠出を表明しておりますが、トランプ政権の影響も出ているようです。

トランプ大統領が、USAID(アメリカ国際開発庁・ユーエスエイド)の事業の大半を打ち切ったため、悪い影響が出ているのです。

被災地に現地入りしたUSAIDの職員3名が解雇通知を受けています。

何か象徴的ですが、欧州とアメリカを分断するような地震も起きています。

北大西洋レイキャネス海嶺(かいれい)でマグニチュード6.9の地震が発生しています。

ソース

M 6.9 – Reykjanes Ridge USGS

グリーンランドにカナダ、そしてアメリカにヨーロッパと、何か位置がね。

トランプ関税が公表された日に起きておりますが、象徴的です。

25%の鉄鋼・アルミニウムへの関税は、既に発動されており、25%の自動車関税も3日から発動されています。

今回の相互関税は鉄鋼やアルミ、そして自動車には上乗せされません。

一律10%の関税は5日に発動し、相互関税は、4月9日午後1時から発動します。

幅広い品目に関税がかけられることになります。

ソース

日本は「24%」、中国は「34%」、韓国は「25%」、EUは「20%」の相互関税がかけられます。

リストに掲載されている国と地域は180を超えており、まさに関税戦争です。

相互関税は60か国が対象のようです。

海外では「経済的核戦争(Economic nuclear war)」とまで言われており、トランプ支持を打ち出していたヘッジファンドの重鎮ビル・アックマン氏は、今では「重大な政策ミス」として激しくトランプ政権を非難しています。

トランプ氏は企業経営者の信頼失いつつある、アックマン氏が警告 ロイター

ヘッジファンド運用者のビル・アックマン氏は、トランプ大統領が企業経営者の信頼を失いつつあると述べ、貿易戦争を一時停止するべきだという考えを示した。

「一方、世界の全ての国に経済的核戦争を仕掛ければ、企業投資は停止し、消費者は支出を抑制し、世界からの米国の評判は大きく損なわれ、回復には数年、場合によっては数十年かかるだろう」

最悪、アメリカへの信頼は数十年間失われると言っています。

トランプ大統領は、もうアメリカは赤字を支払うことができないとギブアップ宣言とも取れる発言をしています。

ソース

トランプ政権は製造業の復活を目指しているようですが、世界の工場が全てアメリカに集まるというのは考えにくいし、非現実的です。

このトランプ関税によって世界貿易に巨大な津波が襲っており、世界経済が激震していくことになります。

世界的な株安になっており、世界中が暴落しています。

ニューヨーク・ダウは、トランプ関税が発表されてからわずか3日間で「4260ドル」も下落しており、3万8000ドルを割っています。

高値の4万5000ドルから「7000ドル以上」も下げたことになります。

ソース

4月4日と5日のわずか2日間で、時価総額は「6兆6000億ドル(960兆円)」も消失し、1月20日の就任以来「11兆1000億ドル(1613兆円)」の時価総額を吹き飛ばしています。

「耐えろ」トランプ大統領のゴルフ外交中に起きた1,000兆円消失劇、JPモルガンが予測するマイナス成長 江南タイムズ

ニューヨーク株式市場では2日間で、時価総額6兆6,000億ドル(約959兆773億3,518万円)が消失した。

今年1月20日のトランプ大統領就任以降、時価総額が約11兆1,000億ドル(約1,612兆9,937億円)消失した計算となる。

「JPモルガン・チェース」は、トランプ政権の関税により、今年の米国経済がマイナス成長になると予測した。

JPモルガンは今年の米経済成長率の予測を1.3%から-0.3%に下方修正した。

トランプ政権は予告通り、米東部時間5日からすべての国に対して10%の基本関税を発効させた。

9日からは「最悪の侵害国」と呼ぶ約60か国に対して相互関税を課す予定だ。

JPモルガンは、今年のアメリカ経済の成長率を「マイナス0.3%」と、マイナス成長を予測しています。

トランプ大統領は、「株価の下落は必要なプロセス」と述べており、今は株価を気にしていられないほど、アメリカは危機的な状況にあると見ているようです。

ソース

トランプ大統領は株価を上げる気はないようであり、日本人は新NISAで政府にはめ込まれてしまいました。

日経平均も暴落しており、昨日は歴代3位の暴落を演じています。

今回のトランプ関税は、リーマン・ショックに匹敵するかもしれないと言われています。

“トランプ関税” 影響はリーマンショックに匹敵との指摘も NHK

専門家からは関税による世界経済の影響はリーマンショックや新型コロナショックに匹敵するショックになりかねないといった指摘も出ています。

金融市場は世界同時株安の様相となり、7日の東京株式市場では日経平均株価が過去3番目に大きい下落幅となりました。

東証のプライム市場の時価総額は7日だけで64兆円、先週月曜日の取引開始時点から7日までで155兆円、減少しました。

昨日だけで「64兆円」も溶かし、先週の月曜日から「155兆円」も溶かしています。

昨日は一時「2900円超」急落していました。

ソース

日本政府は、今回の事態を「国難」と捉えているようです。

トランプ大統領の発言を単なる「ジャイアンの戯言」と捉えてはいけないと危機感をあらわにしています。

ソース

まるで恐慌の入り口にいるようですが、関税を発動した後に来るのは、物価高による売上の低迷であり、企業業績の悪化です。

物価は劇的に上がっていくでしょうから、賃金上昇が追い付かず、景気が悪いのに物価だけが上がるスタグフレーションになります。

大体、似たような予想をしている人は多いようです。

米関税で景気鈍化とインフレ進行も=JPモルガンCEO ロイター

JPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は7日公表した株主への年次書簡で、米国の関税と世界的な貿易戦争に伴う混乱で米経済の成長が鈍化し、インフレが進行する可能性があると指摘、悪影響が長期化する恐れがあるとの認識を示した。

「インフレという結果につながる可能性が高い。

関税が景気後退を引き起こすかは依然不明だが、成長は鈍化する」

もし関税によって物価が上がれば、利上げしなければなりませんが、市場は今のところ景気後退懸念から今年の利下げは「3回~5回」と見ています。

トランプ大統領は利下げを要求しています。

ただトランプ1.0の時とは異なり、インフレが完全に目を覚ましておりますので、下手に利下げをすればインフレが高進してしまいます。

株価を犠牲にしてまで1兆ドルの貿易赤字を削減しようとしているトランプ大統領ですが、アメリカ1国の事情で貿易戦争を売られる他国は、はた迷惑以外の何ものでもありません。

自国以外の世界経済を「The rest of the world」と言い、略して「ROW」と言いますが、アメリカの事情で「ROW」は戦争を売られているわけであり、アメリカ対世界の構図になっています。

フランスも批判しています。

ソース

マクロン大統領は、アメリカへの投資を中止すべきと表明しています。

カナダのカーニー首相も「アメリカとの古い関係は終わった」と言い、報復関税を課すと明言しています。

やはり恐ろしいのは世界経済第一位のアメリカと世界経済第二位の中国との貿易戦争です。

大変な被害が出そうです。

アメリカは違法薬物フェンタニルの中国からの流入を防ぐため、関税「10%」を2回かけ、計「20%」の関税を既にかけているわけです。

この「20%」の関税に今回の相互関税である「34%」の関税がかかるわけであり、計「54%」の関税になっているのです。

中国は中国でこの「34%」の相互関税に対して、アメリカからの全ての輸入品に同額の「34%」の報復関税をかけました。

この報復関税は、4月10日から発動します。

これに対してトランプ大統領は、4月8日までにこの報復関税を撤回しなければ、4月9日から更に「50%」の追加関税をかけると脅しているのです。

中国が報復関税を撤回しなければ、アメリカから54%+50%の計「104%」もの関税がかけられるわけです。

中国は受けて立つ気満々です。

中国商務省「報復措置とる」 米国が追加関税50%なら 日経

中国商務省は8日、中国が報復措置を撤回しなければ50%の追加関税を課すとの意向をトランプ米大統領が示したことに「断固反対する」と反発した。

「米国が関税を引き上げれば、自国の権益を守るため報復措置をとる」と強調した。

商務省は「米国が独断を貫くなら中国は最後まで戦う」と述べた。

中国による報復措置に関して「自国の主権、安全、発展の利益を守り、正常な国際貿易秩序を維持するのを目的としている」と正当性を主張。

関税措置の停止と対話による解決を求めた。

半導体や医療関税もまだ出てきておりませんが、この貿易戦争は今後もエスカレートしそうなのです。

世界貿易を揺るがすことになります。

トランプ大統領は国民に「耐えろ」と檄を飛ばしておりますが、この被害は明らかにトランプ大統領が創った「人災」です。

相互関税が発動する9日以降、色々な国から報復関税の話が出てくるでしょうから、世界が激震していくことになります。

来週の月曜日は、4月14日であり「タイタニック号の日」です。

7日の暴落もブラックマンデーのようなものでしたが、またブラックマンデーになったりしてね。

貿易戦争が、どこまでエスカレートしていくのか誰にも分からないのです。

トランプ大統領は勝利を目指しているようですが、貿易戦争に勝者はいません。

世界経済に不透明感が増しているのです。

JPモルガンは4日、相互関税を受けてアメリカと世界がリセッション(景気後退)入りする確率を従来の「40%」から「60%」へと引き上げています。

ゴールドマン・サックスは、米国が今後1年以内にリセッション(景気後退)入りする確率を従来の「35%」から「45%」へと引き上げました。

ゴールドマンは1週間で2回も引き上げています。

ここでもエスカレートしているのです。

ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、アメリカは既に景気後退に陥っていると言っています。

株価さらに20%下落も、既に米景気後退の見方=ブラックロックCEO ロイター

「私が対話する大半のCEOは、現時点でおそらく景気後退に陥っていると言うだろう」

「とはいえ、現時点からさらに20%下落する可能性も否定できない」

「米国民の62%が株式に投資しており、市場の影響は実体経済にも及んでいる」とし、関税を巡る混乱はますます消費を冷やし、極めて早期にそうした状況が見られるだろうと予想した。

ダウは3万ドル付近まで下がる可能性を指摘しています。

サマーズ元米財務長官も警告です。

サマーズ氏、さらなる市場の混乱を警告-景気減速「ほぼ不可避」 ブルームバーグ

サマーズ元米財務長官は、3日と4日に見られたような市場の混乱が再び起こる可能性は十分あるとの見解を示した。

「2日間の値動きとしては第2次世界大戦以降で4番目の大きさだった」

「これ以外の3回は1987年のブラックマンデー、2008年の金融危機、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)だ。

このような規模の下落は、先行き問題が起きる可能性が高いことを示唆する。

極めて慎重になるべきだ」

景気減速は「ほぼ不可避」だと語った。

サマーズ氏は、トランプ関税によって被る経済的被害は「30兆ドル(約4400兆円)程度」だろうと推計しています。

原油価格が「2倍」になったようなものだ、と。

全米でも相互関税の政策に関して抗議行動が相次いでおり、「トランプは世界を破壊した」と叫びながら、数万人規模でデモ行進が行われています。

恐怖指数VIXも一時は「60」を超え、「恐怖と貪欲指数(フィア・アンド・グリード・インデックス)」も「3」と市場は極端に恐怖しており、悲観が覆っています。

ソース

トランプセッション(トランプ不況)の可能性が極めて高くなっています。

関連記事

  1. 円のメルトダウン

  2. 混とんとした世界

  3. 米朝首脳会談

  4. 米大統領選 全州確定

  5. ブラジルの弱音

  6. 米3月の雇用統計

  7. 第二次朝鮮戦争が起これば、日本は終わる

  8. 国家の破綻ドミノ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

カレンダー
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
アーカイブ
最近の記事 おすすめ記事
  1. 2025.04.12

    人生の意義 13