東芝がいよいよ追い込まれています。
監査法人の意見不表明のマイ・ウェイ決算を提出後、なにをするかと思えば、どうしてもハンコを押してくれないPwCあらた監査法人との契約をあらため別の監査法人に変更するようです。
この記事では冗談半分で、後は監査法人を変更するしかないのではないかと書いたのですが、この通り変える模様です。
早速、クレームがついています。
正直、マンガか、と思いましたが、本気でするとはね。
なりふり構っていられないのでしょうね。
今後の東芝は、社会インフラ事業を柱とするなんて言っていたのですが、舌の根も乾かぬうちにその柱を分社化です。
御柱が早速折れています。
東芝は今年12月で切れる特定建設業の認可を更新できなければ、発電やビル設備建設に必要な大規模工事が受注できず、認可を更新できなければ1兆円の売り上げを失います。
現時点の東芝は「6200億円の債務超過」のため特定建設業の認可を受けられません。
建設業法では財務的な条件が課されており、負債が資産を上回る債務超過の場合、資本金の20%までしか認められていません。
東芝の資本金は2000億円ですから、その20%、つまり400億円までの債務超過しか認められていない。
ところが「6200億円の債務超過」にある東芝は、これですと特定建設業の認可を受けられず、更に売り上げ1兆円を失います。
社会インフラ事業を経営の柱に置けないわけです。
だから分社化した。
債務超過から脱するためには、何としても東芝メモリをなるべく高値で売却しなければならないわけですが、次第に難しくなっています。
東芝のメモリが特許の侵害です。
米、東芝による「フラッシュメモリー」特許侵害を調査 半導体事業の売却金額に影響も 産経
米国際貿易委員会(ITC)は6日、東芝製の記憶媒体「フラッシュメモリー」が他社の特許を侵害している疑いがあるとして、東京の東芝本社や米国とフィリピンの関連会社に対する調査を始めると発表した。
東芝の経営再建に影響が出る可能性がある。
特許侵害が認められれば、東芝製のフラッシュメモリーを搭載したビデオカメラやカーナビなどが米国で販売できなくなる可能性がある。
ITCの調査結果は東芝がフラッシュメモリーを含む半導体事業の売却する際の金額に影響する可能性がある。
このマクロ二クスによる特許侵害の訴えは、たとえそうでも東芝メモリを買収した企業が支払えばいいわけであり、そのような問題ではなく、東芝メモリそのものを売却できない可能性が出てきました。
この3月3日の記事でも扱いましたが、やはりウェスタン・デジタル(WD)の「拒否権」が問題となっています。
東芝とWDの提携契約には、「拒否条項」が盛り込まれており、一方が他社の資本を入れる場合、その出資を拒否できる条項があります。
東芝の生命線を握っている東芝メモリは、三重県の四日市工場なしでは事実上、事業運営そのものが成り立ちません。
この四日市工場に、WDは1.2兆円もの巨費を投じてきたわけです。
東芝側の一方的な東芝メモリの売却は「重大な契約違反」であるとWDは抗議しています。
東芝の半導体事業売却手続きは「合弁契約に違反」、WDが抗議書簡 ロイター
東芝(6502.T)が売却を検討している半導体メモリー事業の分社化について、同事業の合弁生産パートナーである米ウエスタンデジタル(WD)(WDC.O)が「合弁契約の重大な違反」であるとする抗議の書簡を東芝側に送付したことが12日、明らかになった。
「合弁契約の極めて重大な違反であり、(WDの)契約上要求される同意権を無視」していると批判。
東芝メモリの株式をWDの同意なく第三者に譲渡できると東芝が考えているとすれば、「(その)解釈はまったく根拠がない」だけでなく、「(WDの)権利を蹂躙する」行為であると厳しく指摘している。
「噂されている2─3兆円の入札額は、公正で支持可能な価格を大きく超えている」とし、「いずれの入札者も日本および合弁事業にとっては非常に問題」との見解を示している。
特に、入札企業の一つとみられているブロードコムについては、「非常に大きな懸念を有している」と名指しで言及している。
WDは、東芝に対して「(WDを)優先度の低い入札者であるかのように扱うのはやめ、実質的で独占的な交渉を開始するよう」要請。
WDは、2兆円、3兆円などという入札は実に不公平な価格であり、適正な価格は1.4兆円~1.5兆円であると言っており、この価格帯で買収しようとしています。
東芝に対して「独占交渉権」を要求しており、じっくりと時間をかけて交渉していきたいと意地悪なことを言っています。
東芝には時間がなく、独占禁止法の審査だけで半年以上かかり、来年の3月までに東芝メモリを売却し、債務超過から脱しなければ上場廃止となります。
東芝は急いでいるわけです。
しかしWDは、「まぁ、まぁ、落ち着いて、じっくりと時間をかけて交渉しましょう」と言っている。
以前の記事にも書きましたが結局、東芝メモリの売却とその価格は「拒否条項」が盛り込まれている限り、ウェスタン・デジタル(WD)が握っている。
東芝メモリを早急に売却して資金を得なければ債務超過から抜けられず、また担保にも入れられずに融資がうけられなくなる。
銀行は、東芝メモリが高い価格で売却されることを前提に融資していたわけであり、これができないとなりますと東芝の資金ショートもあり得ます。
東芝の生死は、ひとえに東芝メモリが握っていたわけであり、その東芝メモリの売却の成否を握っているのがウェスタン・デジタルです。
つまり東芝の生死を握っているのは、WDということです。
東芝は、現時点では生きるも死ぬもウェスタン・デジタル次第です。
WDが、これ以上ごねれば東芝は倒産します。
他社に心臓を握られているわけです。
生きた心地がしないでしょうね。
提携先合意得られず 東芝の半導体事業売却は暗礁か? 財経新聞
半導体メモリー事業で提携しているアメリカ企業ウエスタンデジタル(WD)の合意が得られず、東芝メモリ社への事業移管が滞っているという。
東芝のメモリー関連事業の資産の大半は既に東芝メモリ社に移管されているが、三重県四日市市の四日市工場に関するものはWDとの合弁会社であるフラッシュフォワード合同会社の持ち分となるため、WD社の同意がなければ移行することができない。
東芝は「協議中」としているが、メモリー事業売却それ自体に反対しているWD社が、何らかの対抗措置を取っている可能性があるという。
このままでは競売にかけることそのものが難しくなる
ランディス・ギアも20億ドルで買おうという企業もあるのですが、東芝が価格が安すぎると言って拒否しています。
20億ドルでは、とても足りないということでしょう。
そしてここにきて三菱系グループが、東芝を「要管理債権」に引き下げています。
東芝を「要管理債権」に下げ 三菱UFJ、新規融資難しく 日経
「要管理債権」とは金融庁によれば、れっきとした「不良債権」です。
新規の融資は難しくなります。
むしろ回収していくかもしれない。
三菱グループは、2行で東芝に1600億円融資しており、そのうち700億円もの金額を貸し倒れ引当金として積んでいます。
まるで破綻企業扱いの割合です。
「要管理債権」とは、東芝は3か月以上融資の返済が滞っているということです。
今年の9月には、更に8200億円の返済が待っています。
10月1日からはカザフスタンのカザトムプロム社が、恐らくウェスティング・ハウス株のプットオプションを東芝に対して行使するでしょう。
すれば東芝は1000億円で買わなければならず、損失となります。
ここにきてこの前の会見では、WH(ウェスティング・ハウス)のチャプター11の申請により、原発のリスクは完全に遮断したと言っていたのですが、これが嘘である事実が判明してきています。
発注元の一つである米電力会社サザン社のトーマス・ファニング会長兼最高経営責任者(CEO)は4日、東芝に37億ドル(約4160億円)の負担を求めており、東芝が応じない場合、6月にも原発建設が中止されるとの見通しを示した。
サザン電力が、東芝に追加損失「37億ドル(4160億円)」を請求しています。
今の東芝が支払えるはずもなく、支払えなければ6月にボーグル原発は建設が中止され、次にその損害賠償請求に東芝は応えなければならない。
不良債権に落ちた東芝に融資してくれそうな銀行は、三井住友ぐらいでしょう。
東芝はもともと三井住友グループの企業ですからね。
原発リスクは、まるで遮断できておらず、次にスキャナ電力からも同じ額の請求がくると予測されています。
原発の工期が遅延すればするほど、ウェスティングハウスは既に破綻しており、支払う能力はないわけですから当然、その支払いはそれを保証している東芝に来ます。
しかもこの「37億ドル(4160億円)」で終わりではないと言明しています。
今後も東芝に請求がくるということですね。
原発リスクは遮断などされていない。
4月末まではサザン電力が負担しますが、それ以後は東芝が負担しなければならない。
監査法人を変えると言っても本決算に間に合いません。
6月末までには東芝の上場廃止が決まっても驚きません。
特設注意市場銘柄と監理銘柄に指定されている東芝の審査の判断は、確か6月ではなかったか。
8月1日の東証2部降格を待たず、東芝は上場廃止になっているかもしれません。
確かS&Pは、東芝は10月まで持たないと見ていたのではなかったか?
何か東芝は、チェックメイトされたように見えます。
果たして東芝に次ぎの一手はあるのでしょうか?
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